Posts in Category: 琉球新報川柳

平成30年8月14日掲載分

天賞
各国へ発信したい平和の詩 那覇 池村幸夫
地賞
虐待に胸ふさがれてテレビ消す 那覇 渡嘉敷唯正
人賞
対馬丸遺影に胸が突き刺され 今帰仁 玉城真光
奨励賞
天国の妻の写真をそっと撫で 今帰仁 長田勘逸
佳作
嫌っても居座る基地の罪深さ 北中城 佐久本盛明
基地被害いつまで続く恐怖心 宜野湾 池間重光
多数決だけが正義か立法府 浦添 比嘉義央
沖縄の声は届かず骨拾う 八重瀬 本村隆信
大臣は部下辞任させ己生き 那覇 山内昌一
年ごとにテレビとケンカ増えてゆき 那覇 仲本安一
忖度も恐れ心が生み落とす 宜野湾 宮本正
物あふれ心まずしくなる恐さ 北中城 国吉安子
爆買いで買えずに帰る地元客 那覇 大城光代
老いてなお磨きかけたいちむぐくる 宜野湾 田場房子
島くとば交わせばすぐに花が咲く 糸満 佐久本小豆


天賞池村さん:去る六月二十三日「平和の詩」を朗読した中学生に、県内外から多くの反響がありました。戦争ばかりしている、世界へ発信したいと思うのは自然でしょう。
地賞渡嘉敷さん:五歳児の虐待死のニュースには、日本中が震撼させられ、合掌するばかりでした。
人賞玉城さん:百聞は一見に如かず、記念館へ行こう。

平成30年8月7日掲載分

天賞
AIが人手不足に顔を出す 糸満 伊佐真行
地賞
平成に電子化されてゆくポエム 八重瀬 森山文切
人賞
常備薬医者も認める古酒の功 糸満 山城のぶう
奨励賞
台風が恵みの雨を連れてくる 糸満 大城正雄
佳作
列島は豪雨に猛暑四苦八苦 糸満 玉城堅義
風向きが変わり説教免れる 本部 永井えいこ
紫陽花に化粧ほどこす走り雨 宜野湾 高橋けい子
飽食にドップリ浸かり病呼ぶ 北中城 宮城好博
一言が脳の回転きしませる 那覇 禱モモト
定年後毎日嫁の顔変わる 那覇 屋良朝淳
ほろ酔いが本音を吐かす縄のれん 那覇 上原松栄
孫と猫ばーばの膝を狙ってる 北中城 小松呑水
老い二人暑さ厳しく閉じこもり 沖縄 桑江彩雲
旅行けば若さと意欲湧いてくる 南風原 宮城睦子
シーサーをイケメンと言うヤマトンチュ 読谷 新垣喜邦


天賞伊佐さん:AIとは人工知能のことですね。なるほど、近い将来人工知能に頼らざるを得ない日本国の人手不足を上手く句に仕立てられました。
地賞森山さん:もはや、出版界は電子書籍へ突入した感は否めません。パソコンやスマホで川柳を楽しめる時代です。
人賞山城さん:上戸にはうれしい作品です。

平成30年7月31日掲載分

天賞
掴んだら離したくない地位と金 読谷 島尻卓
地賞
癒えぬ傷追い打ちかける辺野古基地 今帰仁 玉城真光
人賞
知識より実体験が胸を打つ 糸満 玉城堅義
奨励賞
どん底を知恵と若さで乗り越える 那覇 上原とよ子
佳作
一言で総てが晴れる妻の声 北中城 高松呑海
平和説く人が揶揄されうとまれる 那覇 後盛秀行
同じ釜性格違う子の育ち 読谷 高良秀光
あれこれと揃えてみたが不満増え 北中城 佐久本盛明
初ゲンカ逢えぬ寂しさ思い知る 北中城 大城勉
夜香木誰を誘うか花散らす 宮古島 安谷屋郁
よみがえる確かにここだ初キッス 北中城 稲福呑雲
三歳の孫に手をやくジジとババ 那覇 宜寿次均
台風よ雨だけ連れて来て欲しい 読谷 比嘉ケイ
渇水期恵みの雨に飛び起きる 那覇 池村幸夫
通院へめいいっぱいのおしゃれする 那覇 嘉数美智子


天賞島尻さん:表に現れない人の機微を巧みに捉え作品に仕立てられお見事です。
地賞玉城さん:そうですよね。沖縄県民は、これまでもこれからも癒えぬ傷は負うかも知れないがどんな時も希望を持ち続けたいものですよね。
人賞玉城さん:川柳作品もそうですね。実体験の作品は、自ずと読者に感動を呼ぶものです。

平成30年7月24日掲載分

天賞
あの世行き先輩方で滞り うるま 比嘉春栄
地賞
金の世に天下を知らぬ二千円 糸満 山城のぶう
人賞
握手した手に縛られる投票日 沼津 木俣邦捷
奨励賞
惚け防止サプリ飲むより五七五 うるま 比嘉絹恵
佳作
メールでは素直に言えるありがとう 糸満 金城幸鷹
殿方の眼くもらす美女パワー 北中城 国吉安子
平成の終わりに黒さ増す地球 八重瀬 森山文切
きみまろの流れる舌に占拠され 糸満 佐久本小豆
骨痛むアンダグチだけ良く動く 南風原 宮城睦子
声出してかけ算九九でボケ防止 那覇 屋良朝淳
責任の所在ごまかす政治術 那覇 仲本安一
官僚の聖人気取る裏の顔 読谷 石嶺つる子
琉球の誇る平和をもう一度 沖縄 親泊善雄
ストレスがたまると増える酒の量 那覇 池村幸夫
人生のゴール近く今日も暮れ 那覇 宮城正一


天賞比嘉さん:重たい内容もこうとぼけられて楽しい川柳作品と相成りました。いいですね。
地賞山城さん:そういえばこの頃二千円札は見たことがないですね。さり気なく句に仕立てる見つけの良い作品です。
人賞木俣さん:そうですよね。何か満面の笑みで握手されたら、少々気になるのが人の情でしょう。困ったことです。

平成30年7月17日掲載分

天賞
緩やかに流れる水は濁らない 那覇 渡嘉敷唯正
地賞
摩文仁から世界を灯す平和の灯 那覇 後盛秀行
人賞
ケアハウス入居待ちする長寿国 東京 大矢和子
奨励賞
返納へ未だだと揺れる免許証 沖縄 垣花鷹志
佳作
トランプの一人芝居が波紋呼ぶ 石垣 松本敏
波のあるひいき力士で落ち着けぬ 読谷 島尻卓
一言でみるみる雲る嫁の顔 北中城 大城勉
今日も又辺野古の海が呼んでいる 那覇 上原松栄
謎解きの手前でいつも舟を漕ぐ 那覇 前川真
野菜まで雨乞いしてる項垂れて 今帰仁 玉城真光
リハビリも腰の痛みが先回り 読谷 高良秀光
米朝の雪解け不安基地隣り 沖縄 比嘉典子
だだこねる孫の姿にDNA 宜野湾 普天間いと子
見栄を張り豊かに見せる胸パット 北中城 大屋みゆき
元乙女おしゃれ服着てピクニック 糸満 名嘉真静子


天賞渡嘉敷さん:人間を水に見立てた比喩表現のお手本句としてよろしいですね。緩やかつまり穏やかな人は余り他人とは争いませんね。
地賞後盛さん:沖縄戦での20万人もの犠牲は心が痛み震えるばかりです。平和の火が世界へ届きますように・・・。
人賞大矢さん:団塊世代もすでに高齢化、厳しさは増すばかり・・・。

平成30年7月10日掲載分

天賞
親の恩いくら積んでもまだ足りぬ 那覇 上原とよ子
地賞
逆風も堪えて堪え抜き五十年 今帰仁 長田勘逸
人賞
予報には無い沖縄にヘリが降る 糸満 山城のぶう
奨励賞
モノ忘れ今日もまじめにメモをとる 那覇 なかそね一
佳作
二人とも補いあって愛つのる 糸満 玉城堅義
高齢者笑顔が集う年金日 沖縄 桑江彩雲
車座にあだな飛び交う同期会 北中城 高松呑海
子が巣立ち母は女へ身繕い 宜野湾 崎山とし子
プリキュアになれる道具を買わされる 八重瀬 森山文切
核家族共に気づかう愛を持ち 宮古島 安谷屋郁
落ち目ぎみ昔はモデルFカップ 知名町 轟博美
裸芸見たくないけどしかと見る 那覇 禱モモト
近頃の噂スマホがするらしい 沼津 木俣邦捷
また会おう言ったことすら忘れてる 南風原 宮城睦子
朝帰り代償重い吊し上げ 沖縄 村山治慶


天賞上原さん:そうですよね。よく親の恩は「山よりも高く、海よりも深い」と、言われますね。中七の「いくら積んでも」が効いています。
地賞長田さん:「堪えて堪え抜き」の繰り返すリフレインがより内容を強めてよろしいですね。
人賞山城さん:逆説的にヘリが降る予報もあるとよいのですが・・・。

平成30年7月3日掲載分

天賞
空からも涙がほしい慰霊の日 那覇 大城光代
地賞
定年後初めて妻にありがとう 北中城 伊達政仁
人賞
通学路元気な声がこだまする 宜野湾 安里國基
奨励賞
父の日に娘がくれた抱き枕 糸満 大城正雄
佳作
オスプレイ見上げ続けて立ちくらみ 読谷 石嶺つる子
変身を見事にさせるメーキャップ 糸満 伊佐真行
ハイテク機年金族を遠ざける 那覇 山内昌一
断捨離のリストにボクの名前ある 与那原 宮島拓也
うるむ目に閃光うかぶ慰霊の日 北中城 比嘉若松
反撃の口火を切ってサヨウナラ 宜野湾 宮本正
いつの世も沖縄だけが国のため 那覇 仲本安一
澄んだ目も加齢とともに曇り出す 北中城 小松呑水
ひとり酔う甘いメロディー抱きしめて 那覇 池村幸夫
禁酒解き一日だけの祝い酒 豊見城 下地順子
記憶力無い部下揃い安泰だ 豊見城 松川雄峰


天賞大城さん:音読しますとリズムが心地よさの半面、作品の内容の深さがズシンとひびいてくる心象句でよろしいですね。
地賞伊達さん:「男は敷居を跨げば七人の敵あり」の通り、妻に気を遣う余裕などありませんよね。だからこそ定年後「ありがとう」の言葉が深い。
人賞安里さん:元気な声は沖縄の宝でしょう。

平成30年6月26日掲載分

天賞
難民の波を世界が止められぬ 読谷 島尻卓
地賞
あなたとの違い楽しむ御味噌汁 八重瀬 森山文切
人賞
新車買い傷がつくまで落ち着かず 糸満 金城幸鷹
奨励賞
まず先に年齢を見る訃報欄 八重瀬 木村隆信
佳作
政界もセクハラに揺れ暮れてゆく 那覇 なかそね一
官僚の舌は何枚あるのやら 糸満 佐久本小豆
計り売り飲んだ昔が懐かしい 那覇 渡嘉敷唯正
免許証顔の変遷よく分かり 浦添 宮里直子
客溢れ笑顔こぼれる土産店 豊見城 松川雄峰
激痛を非常口から飛ばしたい 読谷 高良秀光
採血でとられた分の肉を食べ 那覇 村吉政常
老いて今転ばぬように手を繋ぐ 沖縄 松岡隆
迫るボケ五七五で退治する 今帰仁 玉城真光
アルバムで亡き友に会う同期会 読谷 石嶺つる子
投稿し郵便受けに手を合わす 宜野湾 田場房子


天賞島尻さん:世界では難民が増え続け、子供たちのうつろで哀しげな瞳が放映されるたび、何とかならないものかと心が痛みますよね。
地賞森山さん:この「あなた」とは、奥様のことなんでしょうか。和やかさも伝わります。
人賞金城さん:川柳らしい人情の機微を巧みに捉えよろしいですね。

平成30年6月19日掲載分

天賞
慰霊の日礎をなぞる老いの指 糸満 山城のぶう
地賞
火炎痕残したままの小禄墓 浦添 比嘉義央
人賞
占い師聞かぬことまでよく喋る 沼津 木俣邦捷
奨励賞
終活を気にせず生きるケセラセラ 石垣 松本敏
佳作
百合を見て白百合学徒の名を偲ぶ 今帰仁 長田勘逸
背なを押す記事を朝陽に染めて読む 那覇 前川真
嬉しくて固い握手が離せない 八重瀬 小原千春
景色よりガイド嬢だけ見て歩く 糸満 大城正雄
遍路さん途中車に乗り替える 那覇 山内昌一
ストレスが友の笑顔で飛んでゆく 読谷 新垣喜邦
暑い日は泣く子も黙るカキ氷 南風原 宮城睦子
幼子の知ったかぶりが幸を呼び 読谷 比嘉ケイ
菜園も安値の市に潰される 読谷 長屋武
川柳で未だ元気という便り うるま 比嘉春栄
連れ合いを友達という老夫婦 那覇 比嘉靖


天賞山城さん:戦後七十年余、多くの人達が平和の礎へ足を運んだことだろう。老いの指にこもる平和への思いを受け止めたいものです。
地賞比嘉さん:沖縄のいたる所にある火炎痕は、戦争を風化させないためにも、大切に遺したいものです。
人賞木俣さん:悪いことは、聞きたくないものですね。

平成30年6月12日掲載分

天賞
なあんにも喋らないけどいてほしい 八重瀬 森山文切
地賞
欠伸でる講演会もお付き合い 読谷 島尻卓
人賞
ふりがなのように夫が付きまとう 那覇 宜寿次均
奨励賞
いつ死ぬか分かればひとり美酒を飲む 那覇 友寄英雄
佳作
恋いこがれ胸に火傷の跡残す 宜野湾 高橋けい子
手際よく処理するあなた惚れ直す 那覇 池村幸夫
孫生まれ嫁との絆太くなる 宜野湾 安里國基
感謝デーポイント五倍客を呼ぶ 那覇 上原とよ子
土地改良行きつ戻りつ里の墓 宜野湾 崎山とし子
老人のよちよち歩き笑う孫 沖縄 桑江彩雲
バイキング痩せる話に無我夢中 うるま 伊波清峰
値引きする閉店前に客が増え 沖縄 比嘉典子
もう止めてうそ方便の永田町 那覇 山城東雄
孫寝かすチークダンスのような腕 那覇 仲田恵司
スーパーで行事教わる里の味 那覇 世良則子


天賞森山さん:そうですね。若い夫婦よりも、老後の二人にとっては特にしみじみ感じるのではないでしょうか。
地賞島尻さん:興味もないのにお付き合いで行く講演会ほど、退屈なものはないですよね。あっちこっちで欠伸していたりとか・・・。
人賞宜寿次さん:「ふりがな」が効いています。