平成30年4月10日掲載分

天賞
志情を蝶々結びで持ち運ぶ 那覇 前川真
地賞
公園に子供と鳩がいる平和 那覇 渡嘉敷唯正
人賞
茶柱を信じて今朝の茶を入れる 糸満 山城のぶう
奨励賞
ちっちゃな手合わせ仏壇拝む孫 北中城 宮城好博
佳作
コーラスが弾む青春手繰り寄せ 宜野湾 崎山とし子
ほめ言葉皮肉が耳に残ってる 読谷 石嶺つる子
聴診器恋の病は聞き取れず うるま 比嘉春栄
褒め言葉たとえ世辞でもあたたかい 八重瀬 小原千春
ボランティア受けた恵みのお裾分け 沖縄 垣花鷹志
まったりとコーヒータイム空も青 沖縄 比嘉典子
無免許の妻に運転指図され 那覇 新垣明美
泣き声をすぐ聞き分ける母の愛 北中城 大城勉
夢の中美空ひばりと会話する 宜野湾 池間重光
年金日健診日待つ老いの日々 那覇 屋良朝淳
足腰と頭きたえて九十才 今帰仁 長田カンイツ


天賞前川さん:志情(しなさき)はウチナー独特の表現で心情とか心持ちのことですよね。その心情を蝶々結びにするとは、なかなか奥深い作者の思いが伝わりよろしいですね。
地賞渡嘉敷さん:穏やかなこの風景こそが、大切なんですよね。
人賞山城さん:茶柱は立ったのでしょうか。余情ある作品で楽しいですね。

平成30年4月3日掲載分

天賞
春嵐乙女の衣まくりあげ 那覇 仲田栄松
地賞
友が来る積もる話をぶらさげて 糸満 佐久本小豆
人賞
見た目より中味大事と見栄をはる 南風原 宮城睦子
奨励賞
すっぴんで青空に夢描きたい 読谷 高良秀光
佳作
成果主義うそのデータをはびこらせ 読谷 島尻卓
おひな様だまって愚痴を聞いている 宜野湾 高橋けい子
孫そろい女房わめく靴脱ぎ場 北中城 高松呑海
指先が休む暇なしスマホ族 糸満 伊佐真行
呑兵衛は宴会だけは遅れない 北中城 比嘉若松
お隣が加齢とともに遠くなる 宜野湾 安里國基
段取りを練って契約ものにする 那覇 上原とよ子
フェスティバルアドリブ効かす舞台慣れ 宜野湾 真栄城久枝
遠足に変えて筋トレ散歩道 那覇 大城光代
成長を見守っている母子手帳 沼津 木俣邦捷
嫁ぐ娘に涙こらえる父の顔 北中城 国吉安子


天賞仲田さん:日常の中の何気ないひとコマを、さらりと句に仕立てられお見事です。春嵐と衣の取り合わせが効いています。
地賞佐久本さん:話をぶらさげての表現が上手いです。グチよりも笑い袋であってほしいものですね。
人賞宮城さん:外見を飾るのも良いけど、一番は中味が大事ということなんですね。

平成30年3月27日掲載分

天賞
道草が大好きだったスニーカー 糸満 名嘉真静子
地賞
夫婦船乗る前欲しいリハーサル 沖縄 垣花鷹志
人賞
乾杯の長口上に私語が増え うるま 比嘉春栄
奨励賞
穏やかな心が幸を招き寄せ 読谷 石嶺つる子
佳作
揺さぶって利己を目論む姑息者 石垣 松本敏
戦中派ガマンに耐えて苦にならず 宮古島 安谷屋郁
孫の目に見えるは一つ平和の字 沖縄 源河朝盛
晩酌の話の相手ペット犬 那覇 比嘉靖
わが友は一人二人と星になり 那覇 仲本安一
本棚に来世の土産広辞苑 糸満 玉城堅義
女子会は名医談義で花が咲く うるま 上運天米子
妻の愚痴聞いたふりして上の空 北中城 小松呑水
八重岳の桜に勝るマイホーム 今帰仁 長田勘逸
やめたのに知人の佳句が手をまねく 読谷 比嘉ケイ
ジーパンで百歳目指す八十五 那覇 宮城正


天賞名嘉真さん:何かそこはかとなく郷愁を誘う作品でよろしいですね。
地賞垣花さん:沖縄県は離婚率がワーストワンですね。そうならない前にリハーサルして確認するとはユニークな作品ですね。
人賞比嘉さん:そうですよね。コップ持つ手も震えしびれてしまいますね。

平成30年3月20日掲載分

天賞
高画質隠した皺を映し出す 東京 大矢和子
地賞
平和の世この幸せを孫につぎ 那覇 なかそね一
人賞
立てる今歩ける今を感謝する 八重瀬 本村隆信
奨励賞
七十坂恋と云う字が背中押す 糸満 山城のぶう
佳作
人間の表裏を見せる五七五 那覇 渡嘉敷唯正
母介護いつか来る道通る道 糸満 佐久本小豆
軽すぎる仮想通貨の貯金箱 那覇 前川真
イケメンが良い旦那とは限らない 読谷 高良秀光
愚痴言わぬ妻の寝顔は仏様 糸満 名嘉真宣京
ハンカチをそっと手渡す下心 北中城 宮城好博
本音言う時には作り笑いする 本部 永井えいこ
人生の喜怒哀楽に涙あり 北中城 国吉安子
都合良く解釈しても老いは来る 浦添 清水定芳
古本に逝った夫の指紋付き 宜野湾 豊島蓉子
五七五口ずさむたび奮い立つ 沖縄 安慶名昇


天賞大矢さん:もはや超高画質の8Kカメラさえ出現する今日、皺の数さえ映し出すかも知れませんよね。
地賞なかそねさん:ジーンと心に響く五七五のリズムも心地良く、よろしいですね。
人賞本村さん:体験に裏付けられた句は、読むほどに深く伝わるものですね。

平成30年3月13日掲載分

天賞
契約書無いが取られる受信料 読谷 島尻卓
地賞
年隠す女心が揺れている 那覇 大城千鶴子
人賞
痩せたいと言ってる割によく食べる 糸満 伊佐真行
奨励賞
パノラマを拡げてくれるモノレール 那覇 池村幸夫
佳作
あさイチは死亡広告からチェック 南風原 宮城睦子
北の船波の間に見え隠れ 宜野湾 高橋けい子
核抑止核に守られ核憎む 那覇 山内昌一
ヘリ落ちる引力だとは司令官 今帰仁 玉城真光
米軍は息吐くように嘘をつき 与那原 宮島玲子
喜寿祝い笑顔集めて遺影用 糸満 金城幸鷹
高熱に自己治癒力を信じ込み 浦添 上原盛徹
家族みな不器用というDNA 那覇 上原とよ子
うそ泣きを覚えた孫に目を細め 北中城 稲福呑雲
割り勘の端数でもめて友たずね 沖縄 比嘉典子
泡盛の賞味期限は有るのかな 豊見城 松川雄峰


天賞島尻さん:言われてみると、そうですよね。納得いかず拒む人もいるとか。
地賞大城さん:年齢を隠すのは何歳ぐらいか。あるいはどうしてか。いろいろ憶測されるので、女心は揺れ続けるのでしょう。
人賞伊佐さん:多くの読者が「チムアタイ」したのではないでしょうか。選者もその中の一人です。

平成30年3月6日掲載分

天賞
叱るのが苦手だという叱り方 八重瀬 森山文切
地賞
所得税払ってみたい二億円 那覇 新垣明美
人賞
義理チョコも本命チョコも同じ味 糸満 大城正雄
奨励賞
総入れ歯しっかりはめて食べるモチ 那覇 城間康裕
佳作
ヘリの飛ぶ度に覚悟を強いられる 沼津 木俣邦捷
墜落を安全圏と言い逃れ 宜野湾 小浜廉市
親不孝喪主が母親メタボ県 糸満 我謝幸男
初春に投句者集い夢つむぐ 那覇 山城東雄
旅立つ子の背にそっと手を添える 那覇 後盛秀行
看護師の笑顔に見とれ血を取られ 宜野湾 安里國基
定刻に帰れば妻の怪訝顔 北中城 高松呑海
晩酌を勧める妻に惚れなおし 那覇 村吉政常
男なら悲しみこらえ陰で泣く 北中城 伊達政仁
北は雪我が家の庭に咲くさくら 沖縄 桑江彩雲
コスモスが寒風に耐え咲き誇り 那覇 宜寿次均


天賞森山さん:叱る相手にもよりますよね。さりげなく問題提起するのも、川柳の醍醐味でしょう。
地賞新垣さん:所得が五億円以上で二億円払うと、検索して知り、ビックリしてしまいました。庶民には羨ましい限りです。
人賞大城さん:本命チョコは高いものを選ぶという人もいましたよ。

平成30年2月27日掲載分

天賞
思いやり予算と基地と事件事故 那覇 後盛秀行
地賞
自己中を映す鏡と口喧嘩 那覇 前川真
人賞
褒められた自信もついて成果だす 石垣 松本敏
奨励賞
バラに添う立ち位置わかるかすみ草 読谷 高良秀光
佳作
混声が弾む青春引き寄せる 宜野湾 崎山とし子
手術室我慢訓練させられる 浦添 上原盛徹
多種機能単細胞は機能せず 糸満 名嘉真宣京
不揃いの家庭菜園弾む胸 読谷 石嶺つる子
マンネリを変えたい今日のナポリタン 糸満 佐久本小豆
闘病中健康の価値沁みる日々 宜野湾 許田宏
本音では仲直りしたい内輪揉め 那覇 比嘉靖
メールでは電話で出来ぬ会話する 南風原 伊禮和美
達人は批判も上手くラッピング 与那原 宮島玲子
タイトルを持つ若人の弁みごと 糸満 玉城堅義
寄り難い仏頂面のお医者さん うるま 比嘉春栄


天賞後盛さん:思いやり予算を検索してみた。5年間で約9465億円と知り、驚愕するばかりです。句の持つ奥深さに感じ入りました。
地賞前川さん:鏡に映る自分を客観的に見て、口喧嘩とは面白い発想ですね。
人賞松本さん:子どもでも、大人であろうと、褒められるとうれしいものです。

平成30年2月20日掲載分

天賞
臓器たち不眠不休でフル可動 那覇 友寄英雄
地賞
メモ帳に任せて脳が軽くなる 糸満 金城幸鷹
人賞
すっぴんがそれは楽だが見栄もある 読谷 島尻卓
奨励賞
お年玉孫らにはずみ悦に入る 沖縄 桑江彩雲
佳作
目が合ったその後は総て上の空 北中城 高松呑海
筋トレをしてもいいかと膝に聞く 那覇 上原とよ子
生き甲斐と脳活求めボランティア 那覇 池村幸夫
冷酒が昔の痛み連れてくる 読谷 高良秀光
厚化粧後で浮かんだ友の顔 那覇 嘉数美智子
DNAわが子とわかる歩き方 読谷 新垣喜邦
一年が毎年加速老年期 北中城 佐久本盛明
不時着の訓練なのか浜にヘリ 豊見城 松川雄峰
ばあちゃんは昔は若いと孫の言う 浦添 宮里直子
雷鳴に猫を抱えてうずくまる 北中城 小松呑水
鼻歌が得意マイクは握れない 本部 永井えいこ


天賞友寄さん:言われてみると、なるほどと分かる事をさらりと五七五に仕立てられお見事です。
地賞金城さん:脳が軽くなると、とぼけたところに面白さがあり効いていますね。
人賞島尻さん:そうですね。自宅ではすっぴんでいられますが、外出は見栄えもさることながらシミ隠しかも・・・。

平成30年2月13日掲載分

天賞
家よりも広くて立派基地と墓地 南風原 宮城睦子
地賞
ヘリ事故を自作自演と言うヘイト 那覇 後盛秀行
人賞
若作り仕草にのぞく老いの影 宜野湾 崎山敏子
奨励賞
世の中を疑えば皆危険です 那覇 禱モモト
佳作
真実を穿つ裏技笑いくれ 那覇 渡嘉敷唯正
選挙戦大事にされる高齢者 うるま 比嘉春栄
またしても不時着で知る伊計島 糸満 山城のぶう
ヘリが来た大丈夫かと空見上げ 那覇 宜壽次均
記録より体感温度身にしみる 那覇 大城光代
ゆずられた席にとまどう肥満体 宜野湾 高橋けい子
懲りもせずまたかまたかの米軍機 那覇 仲本安一
この癖は親譲りだと負け惜しみ 豊見城 比嘉恒夫
憧れていたよと言われ舞い上がる 北中城 宮城好博
病み上がり体重減るが身は重い 北中城 金城清正
同期会誰が恩師か分からない 宜野湾 安里國基


天賞宮城さん:川柳らしい風刺の効いた仕立てでお見事です。声を出し、耳で聞くと五七五のリズムが心地良く響きます。
地賞後盛さん:ヘリ事故で生存権が脅かされ不安なのに、不当に攻撃するヘイト、精神的にも追いつめられますね。
人賞崎山さん:若作りしても年齢はすぐ仕草に出るものですよね。

平成30年2月6日掲載分

天賞
千鳥足ビンシー揚げてハチウクシ 糸満 我謝幸男
地賞
初日より眩しい孫の笑い顔 那覇 山城東雄
人賞
腹八分教えに背く御正月 糸満 名嘉真宣京
奨励賞
年賀状生きてる証止められず 浦添 上原盛徹
佳作
御利益も目途が立たないおさい銭 那覇 山内昌一
初詣で三ヶ所巡り安堵する 那覇 新垣明美
駆け回る孫を静めるお年玉 沼津 木俣邦捷
元旦の顔で一年過ごしたい 読谷 島尻卓
今年こそ今年こそはと今日も暮れ 那覇 浜比嘉邦子
初春に歳と薬がまた増える 豊見城 松川雄峰
年賀状余白を埋める丁寧語 那覇 金城正恒
朝酒を許してくれる三が日 那覇 比嘉靖
あこがれの詰まる短冊笹たわむ 北中城 稲福呑雲
車捨て運気を変える足の裏 糸満 金城幸鷹
若人を受験で試す運不運 糸満 玉城堅義


天賞我謝さん:ビンシーは木箱に納められた御願セットで、ハチウクシは仕事始めのこと。ほろ酔いでいい気分でいる古き良き時代を彷彿させる作品となりました。
地賞山城さん:初日より眩しいが効いています。
人賞名嘉真さん:分かっちゃいるけど、やめられないという事ですよね。納得です。